以前、僕の家のお風呂の結露がすごいことを書いた。
これは過剰表現だろ、半分ウソだろ、
という声が上がることを僕は大変危惧している。
表現が過剰になるとジャーナリズムの信憑性が問われることが多々あるからだ。
そんな意味では、いつも書く側の僕達は危険と隣り合わせだ。
書けば叩かれ、書かねば笑われる。記者とはつらい職業である。
そんな疑い深い読者の方々に深く理解を求めるには、
ドキュメンタリーしかない。
実録として、ありのままの事実を届けることだ。
たかがお風呂、されどお風呂である。
お風呂の記事にも記者の意地があり、ロマンがある。
証明するのだ。
ある家庭の浴槽と、その周りで起こる真実を全二回に渡って追う。
いまどき見かけない給湯コントローラー。
コントロールできるのは給湯温度のみである。
湯船の温度を調節する機能も、追い炊き指示の機能もない。
その給湯コントローラーの頭上には、
これまたいまどきの家電とは思えない扇風機。
しかも壁に固定してしまっている。
思うに夏場のことしか考えられていない場所のようだ。
もちろん稼動しているきざしは見受けられない。
風呂場の入り口、ドアノブ付近。
閉まらない。
いくら引いても、これ以上閉まらないドア。
換気という観点からすれば好都合かも知れないが、
逆に言えば冷たい外気も誘導している。
すでにこの時点で、結露の要素がそろい始めている。
ドアを開けていきなりの湯気にむせる記者。
現在入浴者はいない。それでもこのこもりようである。
半ドアの換気の良さもなんのその、
湯気は大量に存在している。
いや、冷たい外気に触れて、湿気がすでに空気中で結露を始めているのだ。
これで誰かが入浴し、更に湿気を含んだ空気が還流し始めたら、
いったいどれだけの蒸気が大気中に舞うのだろうか…
記者はすでにこの時点で、
曇り始めたメガネをふき取る作業に忙殺されていた。
旋律の結果を目の当たりにする第二回に続く。
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