ダンス・ダンス・ダンス〈上〉 村上 春樹 (2004/10) 講談社 この商品の詳細を見る |
踊るんだよ、と羊男は言った。それも上手く踊るんだよ。みんなが感心するくらい。
村上春樹の一番好きな作品は世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドだと言う人が多い。なんでだろうと思う。
「『僕』的世界」こそ、この人の真骨頂だと思うんだけど。ノルウェイの森から模索を始め、羊をめぐる冒険を経て辿り着いた第一次成熟期の作品が僕は「ダンス・ダンス・ダンス」だと思う。
これは鳥山明で言えばドラゴンボールではなくDr.スランプであるということであり、井上雄彦で言えばバガボンドではなくスラムダンクであるということだ。どちらの作品もその晩年において、ある種の成熟した「旨み」みたいなものが感じられた。でもまあ、結局好みの問題なんだけど。
この作品を発表した時に村上春樹は作家デビュー10年を迎えている。40歳。「時代感覚」と「深淵に向かう思考」の二つのバランスが良い頃ではないかと思う。
サラダ、スパゲティー、小説に出てくる料理はどれも美味しそうに感じる。
女性の服装も「いいなあ」と感じる。品があって洗練されている。
主人公の友達が運転するのはマセラティ。死ぬまでに一度は乗ってみたくなる。
こういう感覚は歳をとると表現しにくくなると思う。
アフターダークではスガシカオという単語がでてくるらしい。それを聞いて、ちょっと読むのが怖くなった。
コメント
SECRET: 0
PASS: d719a6dfcce7ad79cf94a6d28e602304
そうなのです!所謂、鼠三部作プラス「ダンスダンスダンス」は、最高です。面白い。
SECRET: 0
PASS: 9f4c394952074ec1caa303bc4a7a03ed
ジェイさんコメントありがとう。そうです、三部作は最高です!
「歌は終わった。しかしメロディーはまだ鳴り響いている」
「あんたはいつも上手いことを言うね」
う~ん、「僕」とジェイとのやりとりも最高です。