間違いなく今年No.1の映画。プレミア日本版の評価も満点だったらしい。
ストーリー:★★★★☆
映像:★★★★★
音楽:★★★★★
映画とは王道こそ華である。そして王道とは要素が平坦でも観る者を納得させることができるものである。それ故に道は険しく、王道を行く者は少ない。スクール・オブ・ロック、申し分ない。先が読める筋書き、伏線もなく、生徒の家庭問題もなく、女教師との恋もない。主役の男が更生することもなく、教訓など一切ない。でも笑えて泣けて爽快。
CG映像に魂を奪われた人も、サブカルに呪いをかけられた人も、演技派俳優にしか興味のない人も、セコい批評しかできない人も、涙腺が枯れた人も、みんな揃ってこの映画で感動してください。
この映画は子供のピュアな部分を売りにするお涙頂戴モノではないし、ロック好きに捧げるオバカ映画でもない。ロック好きが観れば笑えるコアな小ネタがふんだんに盛り込まれているみたいだけど。僕はこの映画は「学園祭アドベンチャー」だと思う。
アホでデブで無配慮な指導者の熱心さに惹かれつつバンドバトルの優勝目指して練習する優等生は、理屈がないと動けない現代人の象徴でもある。この展開が若手俳優だと軽い拒絶感を覚える。それが小学生という設定がすごい。いくら格好つけてギターを弾いたって、そこは昨日までたて笛を吹いてたガキ。サマになるわけがない。基本的にマヌケである。なのに真剣に教えるデブ教師。そこが笑えて、そして最後の涙の起爆剤になる。
学園祭、文化祭、体育祭。目立って成功してる奴をうらやんだり、やっかみの気持ちで否定した経験はないだろうか。ステージに立つ者に憧れるのは何故か。『仲間とちょっとマジに努力をしてきた成果』がそこにあるからだと僕は思う。仲間に入れてもらえれば楽しいはず。でも入れないと寂しい…。この映画にはそんな願望を間接的に満たしてくれる何かがある。
その証拠に映画館でこの映画を観た時、妙なお客の一体感があった。映画を観てそんな感覚に襲われたのは初めてだった。バンドバトルでの演奏はまさに必見。
「スクール・オブ・ロック」 。やらかしてくれる映画だ。
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